インフルエンザのヘルプナビ

監修:北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター
特別招聘教授 喜田 宏先生

インフルエンザウイルスの基礎知識パンデミックインフルエンザとは?

トピックス
  1. パンデミックインフルエンザとは?

  2. パンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスの出現メカニズムとは?

  3. パンデミックインフルエンザの歴史

パンデミックインフルエンザとは?

パンデミック(大流行)を引き起こすインフルエンザウイルスは、多くの人々にそのウイルスに対する免疫がないため、伝播性が高く、瞬く間に世界に広がります。
パンデミックを引き起こすインフルエンザウイルスがいつどこで発生するのかを予測することは困難です。しかし、ひとたび発生すると、人々の生命及び健康、医療体制、生活や経済全体に大きな影響を与えかねません1)

季節性インフルエンザ対策をしっかりと行うことこそが、季節性インフルエンザ対策のみならず、パンデミックインフルエンザに対する備えの基本なのじゃ。

パンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスの出現メカニズムとは?

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これまでにパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスは、「ブタ」の呼吸器で生まれたと考えられています。ブタは呼吸器上皮細胞の表面に、ヒトのインフルエンザウイルスに対する受容体(レセプター)だけでなく、鳥インフルエンザウイルスに対するレセプターもあります。そのため、ヒトのインフルエンザウイルスにも鳥インフルエンザウイルスにも感染します。ヒトのインフルエンザウイルスと、鳥のインフルエンザウイルスがブタに同時に感染すると、両方のインフルエンザウイルスの遺伝子再集合体が生じることがあります。その中で、鳥のインフルエンザウイルスに由来するヘマグルチニン(HA)遺伝子を持つものがブタからブタに感染、伝播を繰り返すと、ヒトのレセプターに結合できるインフルエンザウイルスが優勢になります。このようなインフルエンザウイルスがヒトに伝播すると、ヒトには鳥インフルエンザウイルスHAに対する免疫がないため、世界で大流行します。

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A型インフルエンザウイルスは、144人ものきょうだいがいる?

インフルエンザの流行は旧くから記載されていますが、科学的に確認されているものは1900年ころからで、毎年の流行に加えて数回の世界的な大流行が知られています。
中でも、1918年から1919年にかけて世界的に大流行した「スペインインフルエンザ(スペインかぜ)」による死亡者数は、全世界で2,000万人とも4,000万人ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています2)
記憶に新しいところでは、2009年に世界的に大流行したインフルエンザウイルスA(H1N1)pdm2009です。この流行では、4月12日にメキシコで原因不明の呼吸器感染症の集団感染がWHOに報告され、その後、瞬く間に世界に感染が拡大し、ついには、6月11日にWHOがパンデミックは不可避として「フェーズ6※」を宣言しました。2010年5月には、世界214の国と地域で感染が確認され3)、ヒトに免疫がないウイルスの伝播性は非常に高いことが分かりました。

「フェーズ6」の定義:パンデミック期、効率よく持続したヒト-ヒト感染が確立4)

A(H1N1)pdm2009は、世界中に流行が拡がり、多くの人が免疫を獲得するにつれて、季節的な流行を繰り返すようになってきたのじゃ。2011年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われるようになったのじゃ1)

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参考文献

1)厚生労働省:インフルエンザQ&A, Q3
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

2)厚生労働省:インフルエンザQ&A, Q8
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

3)厚生労働省:2009年インフルエンザパンデミック(H1N1) その広がりと健康被害
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/dl/infu100528-02.pdf

4)国立感染症研究所:インフルエンザ・パンデミックに関するQ&A, Q8
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA08.html